お客様との接点を増やすのではなく、興味を持ってもらう仕組みを作る
前回の記事では、カスタマージャーニーについて解説しました。
カスタマージャーニーとは、お客様の購買行動そのものではなく、その背景にある心理変化を理解するための考え方です。
そして、その心理変化に合わせて適切な接点を設計することを「タッチポイント設計」と呼びます。
しかし、タッチポイントという言葉を聞くと、
「お客様との接触機会を増やすこと」
だと考えてしまう方も少なくありません。
実は、それは少し違います。
本当に重要なのは、お客様に接触することではありません。
お客様に興味を持っていただくことです。
どれだけ情報発信を行っても、興味を持っていただけなければ、その情報は存在しないのと同じです。
タッチポイント設計の本質は、接触回数を増やすことではなく、お客様の関心を引き出し、次の行動につなげることにあります。
タッチポイントの役割はお客様を次の段階へ進めること
お客様はある日突然購入を決断するわけではありません。
興味を持つ。
情報収集する。
比較検討する。
試乗する。
商談する。
購入を決断する。
この流れの中で心理状態は変化しています。
そして、それぞれの段階で求めている情報も異なります。
認知段階では、
- ブランドの世界観
- ライフスタイル提案
- 商品の魅力
が有効です。
比較検討段階では、
- 試乗体験
- オーナーの声
- 競合比較のポイント
が重要になります。
つまりタッチポイントとは、お客様との接触そのものではなく、お客様を次の心理段階へ進めるための仕組みなのです。
デジタル社会では物理的タッチポイントは限られている
かつての自動車販売では、
- 店舗来店
- 展示会
- フェア
- 電話
- DM
などが主要なタッチポイントでした。
しかし現在は、お客様の情報収集行動の大半がオンライン上で行われています。
来店前に、
- SNSを見る
- YouTubeを見る
- 口コミを確認する
- AIに質問する
といった行動が当たり前になっています。
つまり、お客様が店舗へ来店する頃には、すでに検討プロセスのかなりの部分が進んでいるのです。
その結果、営業担当者が直接関与できる物理的なタッチポイントは以前より大幅に減少しています。
だからこそ、一回一回の接点を大切にしなければなりません。
そして、それ以上に重要なのが、来店前のデジタル接点で興味を持っていただくことなのです。
デジタルからフィジカルへの導線設計が重要になる
現代のディーラー営業において重要なのは、
デジタルからフィジカルへの導線設計
です。
SNSを見る。
Googleで検索する。
AIで情報収集する。
Webサイトを見る。
試乗予約をする。
来店する。
商談する。
こうした流れを意識して設計する必要があります。
SNSの目的は投稿することではありません。
Webサイトの目的はアクセス数を増やすことでもありません。
お客様の興味を育て、来店や試乗、イベント参加といった次の行動につなげることが重要なのです。
SEOや口コミ対策だけでは不十分な時代
これまでデジタルマーケティングでは、
- SEO対策
- Google口コミ対策
が重視されてきました。
もちろん現在でも重要な取り組みです。
しかし近年、お客様の情報収集行動はさらに変化しています。
単純な検索だけでなく、
「おすすめの輸入SUVは?」
「家族向けで安全な車は?」
といった質問をAIに投げかけることも一般的になりつつあります。
つまり、お客様はキーワード検索だけではなく、対話型の情報収集を行うようになっているのです。
そのため、
検索順位を上げることだけ
口コミ件数を増やすことだけ
を目的にした施策では十分とは言えなくなっています。
これからは、お客様が知りたい情報を継続的に発信し、信頼される情報源になることが重要です。
今回のようなブログ記事も、そのための重要なタッチポイントの一つと言えるでしょう。
レガシーメディアを最初から否定する必要はない
最近では、
「新聞は読まれない」
「折込チラシは効果がない」
「テレビCMは意味がない」
という声も聞かれます。
確かに以前ほどの影響力はありません。
しかし、だからといって最初から排除するべきではありません。
地方都市や郊外エリアでは、
- 地域情報誌
- 地方紙
- 折込チラシ
- 地域イベント
が依然として有効なケースもあります。
重要なのは媒体そのものではなく、
「自社のお客様がどこで情報を得ているのか」
を理解することです。
デジタルかアナログかではありません。
お客様の行動に合わせて適切なタッチポイントを選択することが重要なのです。
メーカーと販売店の役割を理解する
メーカー系列の販売店では、メーカーと販売店がそれぞれ異なる役割を持っています。
メーカーは、
- ブランド認知
- 商品理解
- ブランド価値の醸成
を担います。
一方で販売店は、
- 地域密着情報
- 店舗体験
- 試乗体験
- 担当者との信頼形成
を担います。
重要なのは、双方が同じカスタマージャーニーを理解していることです。
認知はメーカー。
来店促進は販売店。
試乗体験は店舗。
購入後の関係構築は販売店。
こうした役割が連携することで、お客様はスムーズに購入プロセスを進めることができます。
独立系販売会社はジャーニー全体を設計する必要がある
独立系販売会社の場合は事情が異なります。
ブランド認知から顧客育成まで、自ら設計しなければなりません。
その分自由度は高い一方、
- 情報発信
- SNS運用
- コンテンツ制作
- Webサイト運営
- 顧客育成
までを自社で担う必要があります。
しかし最初から全てを内製化しようとすると、大きな負担になります。
そのため、自動車業界を理解した専門パートナーの支援を受けながら設計・運用を進めることも有効な選択肢です。
重要なのは、まず顧客視点でジャーニー全体を設計し、その後に段階的な内製化を進めることです。
タッチポイントは「接触管理」ではなく「興味管理」である
これからのディーラー営業において重要なのは、接触回数を増やすことではありません。
お客様の心理変化を理解し、
どのタイミングで、
どの媒体を使い、
どのような情報を届けるか
を設計することです。
タッチポイントとは、お客様と接触するための仕組みではありません。
お客様から興味を持っていただき、信頼を積み重ね、次の行動へ進んでいただくための仕組みです。
そして、その積み重ねこそが、選ばれる店舗、選ばれる営業担当者につながっていくのです。
自動車ビジネス研究所では、カスタマージャーニー設計、タッチポイント戦略、CRM活用、SNS運用支援などを通じて、ディーラーの顧客接点強化を支援しています。
「情報発信はしているが成果につながらない」
「来店や試乗につながる導線を設計したい」
とお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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