来店前と購入後まで含めて顧客行動を理解する
これまでの記事では、セールスファネル、CRM、会話の見える化、カスタマージャーニー、タッチポイント設計について解説してきました。
今回は、それらを整理する考え方として「AISAS」について解説します。
AISASとは、消費者が商品やサービスを認知し、購入し、その後に情報を共有するまでの行動プロセスを表したモデルです。
一般的には、
- Attention(認知)
- Interest(興味・関心)
- Search(検索・情報収集)
- Action(行動)
- Share(共有)
という5つの段階で整理されます。
自動車ディーラーにとってAISASが重要なのは、お客様の行動が「来店してから始まる」のではなく、来店前からすでに始まっているからです。
さらに現在では、購入後のお客様が新たなお客様を呼び込む時代になっています。
つまりAISASは、来店前から購入後までを含めた顧客行動モデルなのです。
AttentionとInterestは何が違うのか
ディーラー現場で意外と理解しづらいのが、AttentionとInterestの違いです。
Attentionとは、「知っている状態」です。
例えば、
- この地域にその店舗があることを知っている
- そのブランドの存在を知っている
- 新型車が発売されたことを知っている
といった状態です。
一方、Interestは「気になっている状態」です。
例えば、
- 次の車候補として考え始めた
- 家族に合いそうだと感じた
- 一度見てみたいと思った
- 試乗してみたいと思った
という状態です。
つまり、
Attentionは認知。
Interestは関心。
です。
認知されただけでは来店しません。
興味を持った時に初めて次の行動が始まります。
多くのディーラーは来店数や商談数を気にしますが、その前にAttentionとInterestを獲得できているかを考える必要があります。
Attention段階でやるべきこと
Attention段階では、まず存在を知ってもらうことが重要です。
ここでは、
- SNS投稿
- Googleビジネスプロフィール
- Webサイト
- 地域イベント
- 地域情報誌
- 折込チラシ
- 店舗前展示
- メーカーキャンペーン
などが活用できます。
また、多くのディーラーが見落としがちですが、
- 納車風景
- スタッフ紹介
- サービス工場の日常
- 地域清掃活動
- オーナーズイベント
などもAttention形成に役立ちます。
例えば、
「今は購入予定がない」
という方でも、
店舗のSNSを見る
↓
イベントを知る
↓
店舗に親近感を持つ
↓
将来の候補になる
という流れが生まれます。
Attentionとは広告だけで作るものではありません。
日常の情報発信も重要な役割を担っているのです。
Interest段階でやるべきこと
Interest段階では、お客様の関心を深めることが重要になります。
ここで必要なのはスペック説明ではありません。
お客様自身の生活との接点を作ることです。
例えば、
- オーナーインタビュー
- 利用シーン紹介
- 試乗レポート
- 比較検討ポイント
- よくある質問への回答
- 購入後の活用事例
などです。
重要なのは、
「この車は何馬力です」
ではなく、
「この車はどんな人に向いているのか」
を伝えることです。
Interestとは商品理解ではなく、自分ごと化を促す活動なのです。
現代のお客様はSearchする
興味を持ったお客様は次にSearchへ進みます。
つまり検索です。
しかし現在のSearchは、以前とは大きく変化しています。
従来は、
Google検索
↓
検索結果を見る
という流れでした。
現在は、
- Google検索
- YouTube検索
- SNS検索
- 口コミ検索
- AI検索
など、多様な情報収集方法が使われています。
お客様は、
「おすすめのSUVは?」
「輸入車を買うならどこが良い?」
「EVは本当に使いやすいの?」
といった質問をAIに投げかけることも珍しくなくなっています。
SEOだけではなくAIOも重要な時代
これまでデジタルマーケティングでは、
- SEO(検索エンジン最適化)
- MEO(Googleマップ最適化)
が重視されてきました。
もちろん現在でも重要です。
しかしAIによる情報検索が普及し始めた今、新たな考え方も必要になっています。
近年では、
AIO(AI Optimization)
あるいは、
GEO(Generative Engine Optimization)
と呼ばれる考え方も注目されています。
これは、
「AIが参照しやすい情報を継続的に発信し、信頼できる情報源として認識されること」
を意味します。
つまり、
検索順位だけを追いかける時代から、
信頼される情報発信を続ける時代へ変わりつつあるのです。
ブログ記事やYouTube、SNS発信は、単なる集客施策ではありません。
将来のAIO対策としても重要な資産になる可能性があります。
Actionはデジタルからフィジカルへの移行である
Searchの次はActionです。
ディーラーにおけるActionとは、
- 来店予約
- 試乗予約
- フェア来場
- 査定依頼
- 見積相談
- 商談
- 契約
などです。
ここで重要なのは、
デジタルからフィジカルへの移行です。
SNSを見た。
ブログを読んだ。
AIで調べた。
その後に来店や試乗へ進む。
この導線設計ができていなければ、情報発信は成果につながりません。
また販売店側のプロセスは、
集客 ↓ 来店 ↓ 試乗 ↓ 査定 ↓ 見積 ↓ 商談 ↓ 成約
という流れで進むことが一般的です。
AISASは、この販売プロセスへお客様を自然に導くための考え方でもあります。
Shareは次のAttentionを生み出す
AISASで最も見落とされやすいのがShareです。
多くの店舗では納車をゴールとして考えます。
しかし実際には、そこから新たな顧客接点が生まれています。
例えば、
- Googleレビュー
- SNS投稿
- オーナー紹介
- 口コミ
- 納車写真の共有
などです。
Shareは単なる感想ではありません。
次のお客様に対するAttentionの起点でもあります。
つまりAISASは、
Attention ↓ Interest ↓ Search ↓ Action ↓ Share ↓ 次のAttention
という循環構造になっているのです。
AISASで考えると店舗運営が変わる
AISASで考えると、
SNSの役割
ブログの役割
Googleビジネスプロフィールの役割
試乗会の役割
納車後フォローの役割
が見えてきます。
重要なのは、お客様の行動に合わせてタッチポイントを設計することです。
売り手の都合ではなく、お客様の心理変化に合わせて情報提供を行う。
それが現代のディーラー営業に求められる考え方です。
まとめ
現在のお客様は、来店前に情報を集め、比較し、自分なりの判断基準を持っています。
さらに購入後には、自ら情報発信者になることもあります。
だからこそディーラーは、
来店後の商談だけではなく、
Attention
Interest
Search
という来店前の行動、
そしてShareという購入後の行動まで視野に入れる必要があります。
AISASはマーケティング理論ではありません。
お客様がどのように知り、興味を持ち、調べ、行動し、共有するのかを理解するための実務的なフレームワークです。
その理解こそが、選ばれる店舗づくりの第一歩になるのです。
自動車ビジネス研究所では、AISASを踏まえた情報発信戦略、カスタマージャーニー設計、SNS運用支援、CRM活用支援を行っています。
「情報発信を成果につなげたい」
「来店前から選ばれる店舗を作りたい」
とお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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